この記事ではタイヤが車両から外れない時に試してほしい5つの対処法をご紹介します。
スタッドレスタイヤ装着地域では年に2回のイベントともいえるタイヤの季節交換。
「お金がもったいないから」と節約のため自分で交換している人も多いですよね。
ですが、いざ作業を始めナットを外し、タイヤを車両から外そうとしても
「あれ?タイヤが外れない!なんで?」
なんてことになるのも珍しくありません。
実はタイヤが外れない原因は錆による固着。
外れないと一瞬焦りますが錆が原因のため軽度なものでは誰でも簡単に外せます。
そこでこの記事ではタイヤが車両から外れない時に試してほしい5つの対処法をご紹介します。
タイヤが外れない!解決策を試す前の必ず読んで欲しい内容!
今回お伝えする対処法を試す前に必ず下記の注意事項を守って下さい。
誰でも簡単にできますが、危険を伴うのも事実です。最悪の場合タイヤ交換どころではない修理代が上乗せされたり、命にかかわる事態にもなりかねないので注意事項は必ずお守り下さい。
そして、あくまで自己責任でお願いします。
- ジャッキだけではなくウマや角材などの補助固定も使用する
- 他の3輪は地面に着地させておく
- ナットを2本、対角線上につけておく
ジャッキだけではなくウマや角材などの補助固定も使用する
タイヤ交換を車載ジャッキやガレージジャッキだけで行っているかもしれませんが、外れない場合は必ずウマや角材など補助となる支えも用意して下さい。
仮にジャッキが外れても大きなトラブルにならないようにするためです。
置く位置ですが、外すタイヤ付近の足回りです。
車種によってここという箇所が違うので説明も難しいのですが力がかかっても曲がらず安定感も確保できるような箇所を探して下さい。
ここというポイントがみつかったらウマ等を置き、ゆっくりジャッキを下げて下さい。そしてジャッキとウマ等の2点で車両を支える状態にしましょう。
他の3輪は地面に着地させておく
作業をするタイヤ以外の3輪は必ず地面に着地させておいて下さい。
普段、ガレージジャッキでフロント2本やリヤ2本など2本ずつ作業をしている場合でも外れない時は必ず1輪ずつ上げるようにしましょう。
安定感が全く違います。
ナットを2本、対角線上につけておく
外したナットは一旦2本だけでいいのでボルトにつけて下さい。
つける位置は対角線上です。
ナットをつけたらホイールに当たる手前5mmほどの位置まで締めておきましょう。
理由はタイヤが外れた際にボルトのネジ山を痛めないようにするためです。
ネジ山を痛めてしまうとハブボルトの交換で数千円〜数万円の修理代が必要になるので忘れずにお願いします。
タイヤが車両から外れない時に試すべき5つの対処法
タイヤが外れないのはホイールとディスクローター、もしくはホイールとブレーキドラムが錆で固着しているから。
なので、タイヤに上手く衝撃を与えることができれば外れます。
衝撃ですのでじわじわと押すような力ではなく、一瞬だけ大きな力を与えるイメージです。
- 手のひらで叩く
- タイヤを蹴る
- タイヤの内側からプラスチックハンマーで叩く
- 車重を利用する
- 車重を利用する(番外編)
手のひらで叩く
最初に試してほしいのは手のひらの手首に近い硬い部分でタイヤを叩いてみることです。
軽度なものはこれで外れます。
外側からみてタイヤの右を右手で叩き、タイヤの左を左手で順に叩く。
右、左、右、左とリズミカルに両手を使って叩けば力のない人でも簡単に外れることが多いのでまずは手のひらで叩くことを試して下さい。
ただ、手が痛いので数回叩いて外れなければ次の方法を試しましょう。
タイヤを蹴る
手のひらで叩いてビクとも動かないようならタイヤを蹴りましょう。
タイヤの外側下部、もしくは右下か左下の地面よりを蹴るのがオススメです。
タイヤ上側を蹴るという人の方が多いのですが、ミスキックをしてしまうとボディに大きな凹みを作ってしまいます。
タイヤ交換をしたらボディが凹んだということがないように地面側を蹴るようにしましょう。
どうしても下側だと上手に蹴れないという場合は上側を蹴ってもいいですが、ボディは絶対に蹴らないようにして下さい。
ちなみにボディを凹ましてしまった場合の修理代はフロント、リヤともに安くても3万円〜です。
数千円をケチった結果が数万円の修理代に化けたとなれば目も当てられませんよ。
余談ですが、学生時代にサッカーをしていた人は下側を蹴るのが非常に上手です。
ボールの高さと同じくらいだから下側の方が蹴りやすいそうなのでサッカー経験者は上側より下側を蹴る方がやりやすいはずです。
また、蹴った時の衝撃はかなり大きいので念のため一蹴りごとにジャッキとウマ等がズレていないか確認するようにしましょう。ズレているようなら面倒ですが再度セットし直して下さい。
内側からプラスチックハンマーで叩く
渾身の蹴りでも外れない。となるとなかなか手強いですね。
次はタイヤの内側からプラスチックハンマーでホイールのリムを叩きます。
タイヤに衝撃を与えてもゴムなので力が逃げてしまいますが、この方法はホイールを叩くので力も無駄なく伝わります。
ただし、使ってもいいハンマーはヘッドがプラスチック製のもの、もしくは木製かゴム製のものにして下さい。
鉄製のハンマーではホイールへのダメージも大きいので捨てる前提のホイールでない限り鉄製のハンマーは避けましょう。
外側からではなく内側から叩く理由は見栄えの問題です。
ホイールを叩くので少なからずホイールには傷がつきます。普段見える外側に傷があると気になりますよね?
なので傷がついても目立たない内側を叩くようにしましょう。
また、車の下に潜り込む形になりますのでジャッキとウマ等は確実にセットして下さい。
ジャッキが外れると最悪のケースではあなたが下敷きになります。
一歩間違えれば命を落とす作業なので安全は十分に確保して進めて下さい。
車重を利用する
手のひらで叩いても外れない。蹴っても外れない。プラスチックハンマーで叩いても外れない。
となれば、次は車の重みを生かします。
ナットは対角線上に2本、ホイールの手前5mm程度まで締まっていますよね?
その状態でウマ等を一旦外します。そして、ジャッキをゆっくりゆっくり下げて下さい。
ゆっくりゆっくり下げて地面に着地するまでに車の重みでタイヤが「コキッ」という音とともに動きます。
少しでも動いたら再度ジャッキアップしてウマ等をセットして下さい。あとは手で軽く衝撃を与えるだけで完全に外れます。
ここまですればほぼ外れますが、それでも外れない場合は次の方法を試すか諦めてプロに任せましょう。
車重を利用する(番外編)
これは、最終手段です。
先ほどの「車重を利用する」は着地までに外れることを想定していますが、番外編は着地させて少し車を動かします。
車を動かすといってもアクセルを踏んではいけません。ブレーキを少しずつ緩めながら車を動かすイメージです。
ただし、オススメはしません。なぜなら、ハブボルトにかかる負担もかなり大きいからです。
最悪のケースではハブボルトの変形や折れるといったことになってしまいます。
となれば、余計な修理代もかかります。
「最初からプロに任せればよかったよ」
なんてことになってしまう恐れもあるので番外編はオススメしません。
番外編はというより「車重を利用する方法」自体がボルトにかかる負担も大きいのでプラスチックハンマで叩くまで試して外れなければプロに任せるようにしましょう。
修理工場やガソリンスタンド、タイヤ専門店では「蹴る」「ハンマーで叩く」方法でほぼ100%外しています。
車重を利用する方法はこういう方法もあるよという意味でお伝えしましたが裏技中の裏技ですので、後々後悔しないためにも「蹴る」「叩く」までにしておく方が無難な策です。
タイヤが外れない原因
タイヤが外れない原因は錆によって固着するからということは簡単に説明済みですが、具体的にどこが固着しているのかまで説明していないので解説しておきます。
説明が難しいのですが、ディスクローターやドラムの中央部は直径5cmほどの円になって5mm〜10mm程度飛び出ています。
この飛び出た部分が雨や雪、融雪剤により錆ます。
飛び出た箇所はホイール側のセンター部へはまるようになっているのですが多少の隙間はあるものの水分が綺麗に抜けるようにはなっていません。
特にディスクローターは大げさに言えば鉄がむき出しになっているような部品で水気が溜まるとあっという間に錆てしまいます。
ホイール裏側の中央にある穴とディスクローターやブレーキドラムの飛び出た箇所に多少の隙間はあるものの水気が抜けず錆が発生することで隙間がなくなり固着してしまうというわけです。
他に、ホイール裏面のディスクローターやブレーキドラムの当たる面全体が錆て固着していることもあります。
特に固着しやすいホイールの種類
固着して外れなくなるホイールですが実はホイールの種類によって、固着しやすいもの、しにくいものがあります。
固着しやすいのはスチールホイール(鉄ホイール)で、あまりに外れないためプロでも心が折れそうになることもあります。
足回り全体に言えることですが、融雪剤の影響をもろに受けます。冬場に融雪剤が撒かれる地域では特に錆やすいということです。
そのため、スタッドレスタイヤからノーマルタイヤへ交換の際は外れにくいと言えます。
多くの人はスチールホイールにスタッドレスタイヤを組み付けているので春の季節交換では特に固着して外しにくい環境が揃っているわけです。
だからといってアルミホイールは絶対に固着しないというわけではありません。ですが、スチールホイールに比べて固着して外れなくても軽く衝撃を与えればほとんどが簡単に外れます。
ですので、スタッドレスタイヤにアルミホイールを組み付けて車に装着するのがベストな選択といっていいでしょう。
修理工場で外してもらうといくらかかる?
外れないタイヤですが、修理工場に外してもらうといくらかかると思いますか?
常識外れの金額を請求されるかもと不安になるかもしれませんが、多くの修理工場では通常のタイヤ交換脱着料金とさほど変わりません。
というか、通常のタイヤ交換脱着料と同じです。
1本400円〜1000円程度ですので、余計な出費をしてしまうことも考えて早々に諦め、プロに任せる決断をすることも大切ですよ。
次回のタイヤ交換で外しやすくするための予防法
一度固着して外れないといった症状があるのなら、次回も同じことが起こると思っておきましょう。
次回も同じことが起こると予想できますが、錆による固着が原因なのであらかじめ予防することもできます。
最後に予防法も紹介しておきますね。
- ホームセンターでサンドペーパーと錆止め剤を購入する
- サンドペーパーで錆を削り落とす
- 清掃して錆止め剤を塗布する
では、順を追って説明します。
ホームセンターでサンドペーパーと錆止め剤を購入する
サンドペーパーをホームセンター等で購入してきて下さい。
ペーパー目の番手が数種類販売されていますが粗めの40番〜80番くらいがいいですね。合わせて錆止め剤も購入しておきましょう。
サンドペーパーで錆を削り落とす
そして、ブレーキローターやドラムのセンターが5cm程度飛び出ていると思うので、その飛び出た箇所の周りの錆をサンドペーパーで削って下さい。
少し削って錆を落としたら一度タイヤを取り付けてみましょう。
その時、ホイールがすんなり奥まではまるようならOKです。まだきついようなら再度外し、ペーパーで削りましょう。
引っかかりなくスムーズに脱着できるようになるまで繰り返して下さい。
清掃して錆止め剤を塗布する
最後にサンドペーパーで削った箇所に錆止め剤を塗りますが塗る前に簡単にでもいいので清掃しておきましょう。
乾燥しているか確認して、乾ききったらタイヤを装着して下さい。
ちなみに粘度のないスプレータイプのブレーキグリースでも代用はできます。
タイヤが車両から外れない時に試すべき5つの対処法まとめ
タイヤが車両から外れない時に試してほしい対処法をご紹介しましたがいかがでしたか?
タイヤが外れないという経験を初めてすると頭の中でたくさんの疑問が浮かんできますが、原因が錆による固着ですので対処法を知っていればどうにかなるものです。
実際、軽い衝撃で外れることの方が多いので「手のひらで叩く」「蹴る」までは試してみるといいですよ。
ただし、何度も言いますが注意事項は守ることと、下敷きになって命を落とす危険性、数万円の余計な出費がかかる場合もあるので「無理だな」と思えばすぐにプロに任せるようにしましょう。
あくまで自己責任ということをお忘れなく!