この記事ではタイヤからウォンウォンと異音がする原因と危険な場合はどういう時か、また修理代も原因別にご紹介します。
車は工業製品である以上実に様々な音を発しています。
エンジン音やモーター音、電子音など多岐に渡りますが、あなたが聞いているその音、正常な音か異常な音か判断できていますか?
例えば、走行中タイヤ付近からする「ウォンウォン」という唸り音のような音。
最もよく聞く音ではあるのですが、正常な場合と異常な場合で違いがわかりますか?
もしかするとあなたが聞いているその音、危険なサインかもしれませんよ。
タイヤからウォンウォンと異音がする原因
タイヤからウォンウォンと異音がする原因はいくつかあるので比較的多い順に解説していきますね。
「ウォンウォン」という音について1点補足しておきます。
人によっては「ゴー」や「グォングォン」という音に聞こえることもありますが、走行中タイヤ付近からする低音の音と捉えていただければと思います。
- タイヤのパターンノイズ
- タイヤの変形
- ハブベアリングのガタ
- ドライブシャフトの異常
- ホイールナットの緩み
タイヤのパターンノイズ
タイヤのパターンノイズとは地面に接するトレッド面から出る騒音のことです。ロードノイズと呼ばれることもあります。
タイヤトレッド面のパターンに起因する音ですね。
タイヤトレッド面のパターン形状はタイヤメーカーによる違いもありますし、同メーカーでも数種類用意されています。
加速と比例して音も大きくなるという特徴があります。
聞いたこともないような外国メーカーのタイヤは比較的音も大きく、以降に解説するハブベアリングの異常と区別がつかない場合も多くあります。
また、スタッドレスタイヤは雪道や凍った路面でも安全に走行できるようにトレッド面のパターンも食いつきがよくなるよう製造されているため、ノーマルタイヤと比較しても音が大きくなる傾向にあります。
「ウォンウォン」という音の原因がパターンノイズであれば異常ではありません。
タイヤは地面と接しているので多少の音が出るのは致し方ないこと。
ですが、外国産タイヤの中には気になって乗っていられないほどうるさい物もあるので比較的静かな国産タイヤに交換する人も少なからずいます。
タイヤの変形
タイヤが変形すると「ウォンウォン」と波打つような音がします。
こちらも加速と比例して音が大きくなるという特徴があります。
ただし、低速の時は聞こえにくいかもしれません。
実際、100km/hまでは気にもならず、100km/hを超えたあたりから音が聞こえてきたので点検してみたら、とんでもない段減りになっていたということもあります。
タイヤが変形する原因は長期間動かさず放置していたり、経年劣化、傷やヒビ割れからの水分混入が多いとされています。
こぶ状になるピンチカットもタイヤの変形の1つです。
また、車高調整キット等で車高を下げている場合、片減り・段減りの変形はつきものです。
車高を下げるとタイヤ接地面がメーカーの定めている規定値からズレてしまうからで、この場合は車高を戻さない限り片減り・段減りはなくなりません。
というか、車高を下げるという行為は足回り部品の消耗を極端に短くするのであまりオススメできません。
こちらは変形してしまっているので異常ですね。
タイヤを交換しなければ音も消えませんし、変形しているということはいつバーストしてもおかしくない状態でもあるので早急にタイヤを交換する必要があります。
ハブベアリングのガタ
ハブベアリングとはタイヤの回転をスムーズにするための部品です。
ハブベアリングがなければ車はまともに走行できません。
地味ですが非常に重要な部品とも言えます。
ハブベアリング内部には回転運動をスムーズにするためにローラーやパチンコ玉のようなものが内臓されていて摩擦抵抗を少なくするためにグリースが封入されています。
しかし、経年劣化や摩擦熱により磨耗することで隙間が大きくなりガタが出るようになります。
ハブベアリングのガタが原因の場合も加速と比例して音も大きくなりますが、30km/h程度の低速域から音がすることもあります。
タイヤの片減り・段減りと同じく車高を下げているとガタも出やすくなります。
ハブベアリングのガタが原因で音が出ている場合も異常ですのですぐに交換が必要です。
放っておくとガタが大きくなり、最悪タイヤが飛んでいき走行不能となります。
ドライブシャフトの異常
ドライブシャフトとはミッションからの回転動力をタイヤに伝える部品です。
片側はミッションの方へ、反対側はハブの方へ取り付けられているのでハブベアリングの異常音と区別がつけにくいこともあります。
ただ、直進時では区別がつけにくいものの、曲がった際の音の質が違うので判断するならこのポイントですね。
ドライブシャフトから異音がする原因はジョイントの焼きつきか内部にあるボールベアリングの破損です。
ドライブシャフトもタイヤの片減りや段減りと同じく車高を下げている場合は寿命も短くなります。
ドライブシャフトが原因の場合も異常ですので、すぐに交換が必要です。
ホイールナットの緩み
ホイールナットが緩んでいるときも人によっては「ウォンウォン」という音がするように聞こえることもあります。
ただし、ホイールナットが緩むということは直近でタイヤを外すようなことがなければまず考えにくいのでタイヤ交換シーズン以外では少ないのかなといった印象です。
ホイールナットの増し締めをして音が止まるようなら問題ありませんがハブボルトが傷んでいる可能性もあるので念のため点検してもらいましょう。
走行が不安ならロードサービスを利用する
走行中の「ウォンウォン」という音は原因がどこにあるかで走行する際の危険度は変わります。
けれども、実際はどこが原因かなんて点検してみないとわからないんですね。
タイヤが大きく変形しているなど見た目でわかりやすい特徴があればまだ判断できますがハブベアリングやドライブシャフトに異常を起こしているとプロでも現場で応急処置することなんてできないですからね。
ですので、自宅の近所を走行しているぶんにはいいのですが、遠出をしている時などで「ウォンウォン」と音が出始めたら走行はせず、ロードサービスを利用して下さい。
ロードサービスなんて大げさじゃない?と思うかもしれませんがそもそも「ウォンウォン」という音もあなたが気がつくもっと以前からしていたかもしれませんよね?
つまり、すでにかなり進行していて末期状態かもしれないということです。
音が気になりだしてすぐに点検したら実は相当まずい状態で周辺部品にまで影響を及ぼしていたということも珍しくありません。
軽率な判断で走行するのは危険です。
実際、事故というのはちょっとしたことから起きていることが多いので遠慮せずロードサービスを手配して修理工場に運んでもらい点検・診断・修理をしてもらいましょう。
タイヤからウォンウォンと異音がした時の修理代
タイヤからウォンウォンと異音がする原因がわかったところで
「じゃあ修理代はいくらかかるの?」
という疑問が出てくると思うので修理代についても紹介しておきます。
- 車高を戻すケース
- アライメントを調整するケース
- タイヤの交換をするケース
- ハブベアリングを交換するケース
- ドライブシャフトを交換するケース
車高を戻すケース
車高を下げていることが原因でタイヤが片減り・段減りを起こしているケースでは車高を戻す方が賢明です。
社外品から純正サスペンションへ交換する料金相場
1台分料金 | |
軽自動車 | ¥200,000 |
普通車 | ¥250,000〜 |
比較的金額の安い軽自動車でも部品代だけで軽く10万円を超えます。
サイズの大きい車種ではさらに高額になります。
アライメントを調整するケース
タイヤの接地角を、メーカーが設定している基準値に調整し直すことをアライメント調整といいます。
あらかじめお伝えしておきますが、車高を下げている場合はアライメントを調整してもタイヤの片減り・段減りは直りません。
直るという人もいますが実際は変わりません。
よくても少しマシになったかなという程度で期待しない方がいいです。
そのためアライメントを調整するなら、まず車高調整キット等を純正品へ戻してからにしましょう。
アライメント測定・調整料金相場
料金 | |
アライメント調整 | ¥15,000〜¥2,5000 |
アライメント測定 | ¥7,000〜¥10,000 |
修理工場・タイヤショップでの違い、地域による違いがあるので上記はあくまで基本的な範囲としてお考え下さい。
また、キャンペーン等で一時的に調整料を無料にしている修理工場・タイヤショップもあります。
基本的には測定をして調整が必要となればプラス調整料をいただくという流れになるので、とりあえずズレの範囲を確認するために測定だけお願いしてみるのもありだと思いますよ。
タイヤを交換するケース
パターンノイズや片減り、段減り、ピンチカットなど変形しているタイヤの場合はタイヤを交換すれば異音はおさまリます。
というかパターンノイズが原因なら我慢するだけの話ですが、片減りや段減り、ピンチカットなどの変形が原因の場合、交換は必須です。
そのまま走行を続けると異音どころか事故につながるだけですよ。
また、片減り・段減りの原因となっているのが車高ダウンであれば車高を戻すところからしなければ1年〜2年でまた同じことになります。
1年〜2年に1度タイヤを交換すると割り切ってしまうのも1つの策ですが、もったいないですよね?
ですので、車高を純正に戻すというところから検討するようにしましょう。
タイヤだけ交換するにはタイヤ代(4本)と組み替え工賃、ホイールバランス料、廃タイヤ処分料が必要です。
タイヤ代はサイズ、メーカーによって価格に幅がありすぎるため記載が難しいので組み替え工賃とホイールバランス料、廃タイヤ処分料のみ相場を記載しておきます。
タイヤ交換(組み替え)工賃一覧
料金 | |
タイヤ組み替え | ¥1,000〜¥5,000 |
ホイールバランス | ¥1,000〜¥1,500 |
廃タイヤ処分 | ¥500〜¥1,000 |
料金は1本の価格です。特殊なタイヤでは組み替え料金だけで1本5,000円ほどになることもありますが純正のタイヤサイズや1インチアップ程度では高くても1本2,000円ほどでおさまることが多いです。
こちらも修理工場・タイヤショップや地域性によって違いがあるので当てはまらない場合もあります。
全てを一まとめに「タイヤ組み替え工賃1本◯◯円」としていることもありますが、この範囲におさまってくると考えておけば問題ありません。
ハブベアリングを交換するケース
ハブベアリングが異音の原因なら必ず交換してもらいましょう。
最悪のケースでは走行中タイヤが飛んでいきますよ。
「走行中タイヤが外れ歩道を歩く保育園児に激突・・・」
翌日以降のニュースを賑わす事故の犯人が自分になるかもしれないなんて怖いですよね。
ハブベアリング交換料金一覧
車種名(型式) | 部品代 | 工賃 |
ワゴンR(MH34S) フロント |
¥14,000 | ¥8,000 |
ワゴンR(MH34S) リヤ |
¥4,000 | ¥6,500 |
ノート(E12) フロント |
¥11,000 | ¥17,600 |
ノート(E12) リヤ |
¥7,000 | ¥8,000 |
ヴェルファイア(ANH25) フロント |
¥14,000 | ¥10,000 |
ヴェルファイア(ANH25) リヤ(ハブ一体式) |
¥30,000 | ¥20,000 |
使う部品や修理工場によって金額は前後するのであくまで目安の金額とお考え下さい。
ヴェルファイアのリヤを見ればお分り頂けるかと思いますが、ハブ一体式を採用している車種は部品代が一気に跳ね上がります。
ドライブシャフトの交換
ドライブシャフトが原因の場合も交換は必須です。
ドライブシャフトの異常を放置すると最悪のケースではミッションの回転動力がタイヤに伝わらないので進みません。
交通量の多い国道でアクセルをどれだけ踏んでも進まないなんて考えたくもないですよね。
少々値段も張りますが、ケチらずに交換するようにして下さい。
ドライブシャフト交換料金一覧
車種名(型式) | 部品代 | 工賃 |
ワゴンR(MH34S) | ¥44,000 | ¥10,000 |
ノート(E12) | ¥5,3000 | ¥16,000 |
ヴェルファイア(ANH25) | ¥5,3000 | ¥20,000 |
ハブベアリング同様、使う部品や修理工場によって金額は前後するのであくまで目安の金額とお考え下さい。
ドライブシャフトはリサイクルパーツ(中古品)を使うかリビルト品(再生品)を使うか、純正新品を使うかで金額は大きく変わります。
一覧表は純正新品の価格です。
リビルト品は純正品の7割ほど、リサイクルパーツは純正品の3割〜5割ほどが目安ですので予算がないようなら放っておくという選択はせず、リサイクルパーツで修理するようにしましょう。
車を買い換えた方がお得なことも
ここまで原因と修理する際の料金を紹介しましたが、車高を下げていることがそもそもの原因の場合、車を買い換えた方が賢明な選択かもしれません。
なぜなら、車高を戻す料金、4本のタイヤ代、組み替え工賃等を含めると車種によっては30万オーバーの金額が必要になることもあるからです。
「ウォンウォン」という音の原因を突き詰めていったら修理代に30万を超える。
修理する気になりますか?
高年式・低走行の車ならまだ修理する気にもなるかもしれませんが、低年式・多走行の車の場合、いつどこでどんな故障に見舞われるかわかりません。
例えば、車検が迫ってきているとしましょう。
車検整備費用と諸費用は別に用意しなければいけませんよね?
まず、30万と別に車検代。
もしかすると自分が想像もしていない箇所に不具合があるかもしれません。
30万+車検代+α
結局全部修理したら50万円超えたんだけど・・・。
ということになるかもしれないのです。
50万あれば次の車の頭金にする方がよくないですか?
もちろん音の原因となっている箇所を根本から修理して大事に乗り続けるというのも大切なことです。
しかし、修理以外にも選択肢はあるということも知っておいて下さい。
実際、こういったことを理由に乗り換える人も多いので。
まとめ
走行中にタイヤ付近から聞こえる「ウォンウォン」という音の原因と修理代について解説してきましたがいかがでしたか?
タイヤのパターンノイズ以外に聞こえるタイヤ付近からの「ウォンウォン」という異音は異常であることがほとんどです。
修理代も高額になる場合もありますが、だからといっていつまでも修理せず乗り続けるということだけは避けて下さいね。