こちらの記事ではタイヤの側面にこぶができる原因と、放置したときの危険性について解説しています。
また、タイヤ側面にこぶを発見したときの対処法、こぶがあっても車検に通るのか、さらにこぶを防ぐための方法についてもご紹介します。ぜひ最後までお読みください。
タイヤにこぶができる現象の正式名称は「ピンチカット」
タイヤの側面が膨れてこぶができる現象ですが、名称がつけられていて「ピンチカット」と呼ばれています。
ピンチカットはタイヤの異常の中でも比較的多く、バーストの直接的な原因につながります。
タイヤの構造を理解しておく
タイヤ側面にこぶができる原因を知る前にタイヤの構造を知らないと理解に苦しむと思うので簡単に解説しておきます。
自動車のタイヤはカーカスコードという繊維が骨格となり、その周りをゴムで覆うことで成形されています。
路面に接している面をトレッド面といいますが、トレッド面はゴムの層も厚く頑丈に作られています。
一方でタイヤの側面はクッション性を担う部位のため、路面からの衝撃や適正車重に耐えられるようになってはいるものの、ゴムも薄く、直接受ける外からの衝撃に耐えられる構造にはなっていません。
つまり、トレッド面の強度と側面の強度は全く別物ということです。
タイヤの側面にこぶができる原因
タイヤ側面にこぶができる原因は、タイヤの骨格を担っているカーカスコードが一部切れてしまうから。
もともとタイヤの側面はトレッド面に比べて強度もありません。ということはカーカスコードが切れてしまうと骨格のないゴムだけの状態になります。
コード切れを起こした箇所が極端に弱くなるのは想像できますよね?
タイヤには車重がかかっている上、中から空気圧の圧力もかかってきます。
その圧力に耐えられず風船のように膨らんでこぶができてしまうというわけです。
比較的新しいタイヤで普通に走行しているぶんにはピンチカットなど起こりません。なにかきっかけがあることでカーカスコードは切れてしまいます。
そこでカーカスコード切れにつながる、ついやってしまいがちな5つの行為をご紹介しておきます。
- タイヤの側面をぶつける
- 縁石など大きな段差への乗り上げ
- 空気圧不足
- 経年劣化
- 過積載
タイヤの側面をぶつける
タイヤ側面をうっかり障害物にぶつける。
この行為がカーカスコードを切ってしまいます。
カーカスコードを切る原因の中で最も多く、側面に直接衝撃を与えるので気づきやすいといえます。
縁石など大きな段差への乗り上げ
スピードを落とし切らずに縁石など大きな段差へ乗り上げると一瞬の衝撃が大きすぎてカーカスコードが切れてしまうこともあります。
こちらもカーカスコードが切れる原因の中で比較的多いとされています。
ただ、間接的な衝撃で空気も減るわけでもなく、走行にも影響しないのでこぶができていることに気づかない人も多くいます。
空気圧不足
空気圧が少ないと地面からの衝撃は吸収しやすくなる一方でタイヤにかかる負担は大きくなります。となれば、当然タイヤを構成しているカーカスコードにかかる負荷も大きくなるので切れやすくなります。
経年劣化
タイヤの寿命は走行距離にもよりますが、3年〜長くても5年程度。
寿命を超えたタイヤは形こそタイヤですが、劣化したただのゴムと同じです。
なにがあってもおかしくないのでカーカスコードが切れてもなんら不思議ではありません。
過積載
車のタイヤは最低でも1トンを超える重量をタイヤ4本で支えています。
もちろん耐えうる構造になっていますが、規定を超えた荷物を載せる過積載ではタイヤ1本1本にかかる負荷も大きくなります。
そのため過積載になればなるほどカーカスコードが切れやすくなります。
タイヤ側面のこぶを発見したときの対処法
タイヤ側面にこぶを発見したら、迷わず近くのタイヤ専門店か修理工場へ行き、タイヤを交換してもらいましょう。
もし、こぶを発見したことで急に不安になり、運転するのが怖くなったらJAFや自動車保険に付帯されているロードサービスを利用するといいですよ。
スペアタイヤ装備車であれば現場で交換してくれますし、未装着車であればタイヤ専門店や修理工場へ運んでくれます。
ただ、タイヤ代は自己負担ですのでお間違えなく。。。
タイヤ側面にこぶがある状態は自走できないわけではないのでJAFやロードサービスを利用できないと思っている人も多いのですが、そんなことないですからね。
不安を抱えたまま運転するのは安全運転をする上でよくありません。遠慮せずお願いしましょう。
ピンチカットを放置するとバーストの危険性も!
ピンチカットはカーカスコードが切れることで一部が極端に弱くなり、空気圧に耐えられず膨らみます。
外からの力を中からの圧力が最弱になった一部分に加わる。つまりバーストしやすい状態ということです。
走行中いつバーストしてもおかしくない非常に危険な症状。
最悪のケースでは車の制御ができなくなり、大きな事故につながります。
自分だけの単独事故で済むならまだいいですよ。
車の制御ができなくなるということは付近に人がいれば巻き込んでしまう可能性も充分にありますよね?
ですので、ピンチカットを放置するのは絶対にやめておきましょう!
こぶができたタイヤは車検に通る?
車検は通らないと思っておきましょう。
危険なタイヤにできたこぶですが、車検ではグレーゾーン。
スリップサインに関しては保安基準ではっきりと定められていますが、変形に関しては定められていません。
しかし、車検時の保安適合検査の合否は国が定めている保安基準だけでなく、実際に検査を実施する検査員の判断に委ねられているものもあります。
ピンチカットはその1つ。
検査員が「いいよ」といえばOK、「危険だからダメ」といえばNGになるということです。
今にも破裂しそうなタイヤを黙認してくれる比較的ゆるい検査員ももちろんいますので、探せばきっとみつかります。
ですが、ピンチカットはいつ破裂してもおかしくない危険な状態。
そのまま検査を通して後々トラブルになったら自分が責任とらなくてはならないので不合格とするケースの方が圧倒的に多いといえます。
ですので、車検は通らないと思っておきましょう。
ピンチカットにならないために誰でもできる予防法
危険なピンチカットですが突発的なトラブルの中でも比較的予防もしやすいので最後に予防法もお伝えしておきます。
- 安全運転
- 空気圧のチェック
- 古いタイヤは交換する
- 荷物はほどほどに
安全運転に勝るものはない
脇見をせず障害物がどこにあるか気をつけて運転をしていればタイヤの側面をぶつけるようなこともないですし、縁石などの大きな段差に乗り上げるようなことはありません。
安全運転はタイヤだけに限らず事故そのものも防げます。これが一番の予防法です。
空気圧のチェックはこまめに!
空気圧が少ないとタイヤにかかる負荷も大きくなります。
タイヤの空気を適正圧に調整しておくことはピンチカットを予防するだけではなく、燃費の改善にもつながります。
できれば1ヶ月ごと、無理でも2ヶ月ごとに空気圧は確認しておきましょう。
5年以上使用しているタイヤは交換する
タイヤの寿命は3年〜長くても5年程度。
路面と接しているのはタイヤだけです。にも関わらず本来の性能とは程遠い寿命を超えたタイヤを使い続けるのは自殺行為といわざるおえません。
大げさかもしれませんが、タイヤは凶器にもなる車を制御する部品の1つです。
最悪、大きな事故につながる恐れのある古くなったタイヤは早々に交換するようにしましょう。
荷物はほどほどに
荷物が多くなればなるほどタイヤにかかる負荷も大きくなります。
荷物といっても軽量のものから重量物まで様々ですが、無駄な荷物は載せないようにしましょう。
車両ごとに決められている最大積載量をオーバーさせるのは論外ですからね。
タイヤにこぶができる原因と対処法まとめ
タイヤにこぶができる原因と対処法をご紹介しましたがいかがでしたか?
- タイヤにこぶができる原因はカーカスコードが切れるから
- その状態は非常に危険
- 放置して走行するとバーストにつながることも
- 最悪、大きな事故に!
- 発見したらすぐに交換する
タイヤのこぶは意識していないとなかなか気づけません。車は一歩間違えれば人の命すら奪ってしまう凶器。
車を安全に使用する上でタイヤは非常に重要です。
定期的に外観のチェック、空気圧のチェック、溝のチェックはするようにしましょう。