本記事では、タイヤ付近からキュルキュル異音がする原因をご紹介します。
また、放置しても大丈夫なのかについても解説します。
タイヤ付近から聞こえるキュルキュルという耳障りな甲高い異音に戸惑っていませんか?
近くを歩く人に振り向かれ恥ずかしい思いをしているかもしれませんね。
「音さえ我慢すれば普通に走行できるから気にする必要ないのかな」
と思うかもしれませんが、今までしていなかった音がするということは何かがあると思って間違いありません。
タイヤ付近からキュルキュル異音がする原因
タイヤ付近からキュルキュルと耳障りな異音がする主な原因は2つです。
順に解説していきますね。
- ベルト鳴き
- 補機類の異常
ベルト鳴き
キュルキュル音の原因は、そのほとんどがエアコンベルト・オルタネーターベルト・パワステベルトのいずれかが滑って鳴いている音といえます。
勘違いする人も多いのですが、10年10万キロで交換するエンジン内部のタイミングベルトではありません。
エアコンベルト・オルタネーターベルト・パワステベルトはその名の通りエアコンを駆動させるためのベルト、オルタネーターを駆動させるためのベルト、パワステを駆動させるための部品ですが、1本だけでファンベルトと呼ぶものもあり、車種によって何本使われているかは違います。
簡単にベルトがどういう役割を担っているかについて説明しておきますね。
エアコンやオルタネーター、ウォーターポンプ等の補機部品はエンジンの動力を利用して駆動させています。
その動力を補機部品に伝えている物がベルトです。
それぞれの補機部品にはプーリーという滑車のような部品があり、プーリーにベルトを回すことでエンジンの動力を無駄なく伝えているというわけです。
補機類の異常
スムーズに回転するはずのプーリーがなんらかの理由で抵抗が大きくなっている場合も「キュルキュル」という音がします。
この場合、キュルキュル音と同時にゴムが焼けるような臭いを発するという特徴があります。
また、テンションープーリーというベルトの張りを調整する部品等にガタが出だした時も人によってはキュルキュルと聞こえます。
ですが、補機類からガタが出ている音はどちらかと言うと「キュンキュン」もしくは「ヒュンヒュン」に近いですし、滅多に壊れる部品でもないのでベルト鳴きよりも可能性は圧倒的に低いといえます。
ベルト鳴きが起こる原因
タイヤ付近からのキュルキュル音はそのほとんどがベルト鳴きなので、そもそもベルトが鳴く原因について詳しく解説します。
- 張力の低下による滑り
- オイルの付着
張力の低下による滑り
ベルトは、ゴム製品のため経年劣化と摩擦熱により年数が経過すると硬化し、弾力を失っていきます。
そして、張力が低下したベルトは滑車の役割を果たす各プーリー上で滑るようになります。
この滑っている音が「キュルキュル」という異音となって聞こえるというわけです。
そもそもベルトは消耗品のため、4年4万キロを目処に交換する部品です。
つまり、4年4万キロ付近になるとキュルキュルと音が鳴り出してもなんら不思議ではないということです。
ただ、交換目安である4年4万キロはあくまで目安。より早い時期に鳴きだす場合もある一方で、1本タイプの車種であれば6年6万キロほどまで問題ないことも多いです。
一般的に1本タイプより2本、3本タイプの方がキュルキュルと鳴きやすく、中には新品に交換して2年〜3年、2万キロ〜3万キロ程度で鳴き出すものもあります。
オイルの付着
エンジンオイルの交換時など、オイルがベルトに付着してしまうことがあった際も、ベルト鳴きは起こりやすくなります。
この場合、しばらく走行している間に熱で付着したオイルを焼くので時間が経つと音は止まるようになります。
しかし、オイルを焼くので焦げ臭いにおいを発することも忘れてはいけません。
また、プーリーがスムーズに回転しない際もキュルキュル音、ゴムが焼ける臭いを発するので見極めが難しいかもしれません。
もし直前にエンジンオイルの交換等をしているようなら、まずはオイルの付着から疑いましょう。
キュルキュル音を放置するのはNG
キュルキュル音が鳴りだしてからも気にせず乗り続けると、そのうちベルトが切れます。
ベルトが切れてしまうということはエアコンも作動しないのはもちろん、発電機であるオルタネーターも駆動しなくなるので走行中にエンジンが停止します。とても危険ですよね。
急いでいる時にエンジンが停止して動かないなんて考えたくもないです。
まだ鳴り始めであれば自走もできますので、ベルトが鳴き出したらいつまでも放置せず早めに点検してもらうようにしましょう。
自分で点検できないものかと思うかもしれませんが、誤ってエンジン始動中にベルトを触るなどしてしまうと指が巻き込み飛んでしまう危険性もあります。
ここは、プロの判断を仰ぐようにして下さい。
キュルキュルと異音がする時の対処法
ベルトの張り不足が原因でキュルキュルと音が出ている場合は、ベルトを少し張ることで音は止まります。
しかし、ベルトは張り過ぎても音が出るシビアなもの。自分でどうにかしようとするのではなくプロに任せてください。
そして、ベルトの張り調整ができないオートテンショナータイプの車種では、テンションプーリーという部品を交換しなければ音は止まりません。
張りの調整でキュルキュル音が止まらなければ、ベルトを交換するしか方法はないです。
鳴き止めのワックスを使って音を止める方法もありますが、その場しのぎの処置になるのでまたすぐにキュルキュルと音が鳴り出します。
その場しのぎの処置でごまかすのか、張り調整をするもしくは交換してしまうかは人それぞれですが、ベルトの寿命に差し掛かってきているということは覚えておいて下さい。
キュルキュル音がする3つのケース
キュルキュル音はエンジンが動いている最中、ずっと鳴り続けていることはほとんどありません。
これからご紹介するタイミングでキュルキュル鳴る特徴があるので紹介しておきます。
- 朝一のエンジン始動直後
- 加速時
- ブレーキング時
朝一のエンジン始動直後
一番多いのが朝一のエンジン始動直後です。特に外気温が低い冬場になるとキュルキュル音が鳴りやすくなります。
これは気温が低下することでゴムが硬化し弾力がなくなって滑りやすくなるからです。
エンジンがある程度温まると音も止まりますが、日が経つにつれ鳴る時間も長くなるのでうるさくて乗っていられないと諦めてベルトを交換する人も多くいます。
加速時
アクセルを踏んだ瞬間だけキュルキュルと音がする場合もあります。
すぐに対処する人は少ないのですが、こちらも時間が経つにつれ鳴る頻度が多くなるのでその時に交換する人が多いといえます。
ブレーキング時
すごく稀なケースとしては、ブレーキを踏んだ時だけ「キュルー」という音がする場合もあります。
人によっては「キー」という音に聞こえるようでブレーキング時にしか鳴らないこともあって、ブレーキ鳴きと勘違いしやすく、ブレーキの鳴き止め作業を勧められます。
実際の診断は、症状が出ていない限りユーザーの話を聞き、可能性の高い原因を説明するのでこの場合、ベルトが原因と診断できるまで時間がかかるかもしれません。
毎回のブレーキング時で音が出るのならまだ判断しやすいのですが、滅多に鳴らないので整備士泣かせのベルト鳴きのケースといってもいいでしょう。
ベルトの張り調整、交換する場合の料金と作業時間
最後にベルトの張り調整と交換する場合の費用についても記載しておきます。
ベルトの張り調整の料金と作業時間
ベルトの張り調整料金相場と作業時間
ベルトの張り調整料金 | 作業時間 |
¥2,000〜¥5,000 | 30分〜40分 |
車種、修理工場によってはこの範囲に収まらないこともあります。
ベルト交換の料金と作業時間
ベルト交換の料金相場と作業時間
車種名 | ベルト交換料金 | 作業時間 |
ワゴンR(MH34S型) | ¥14,000前後 | 30分〜40分 |
ヴェルファイア(ANH25型) | ¥13,000前後 | 20分〜30分 |
こちらも車種、修理工場によってはこの範囲に収まらないこともあります。
また、ベルトの在庫の有無は修理工場によって違うのであらかじめ在庫の問い合わせも必須です。
タイヤ付近からキュルキュル異音がするなら早めの対処が必須
タイヤ付近から聞こえるキュルキュル音の原因は、ほとんどがベルト鳴きです。
消耗品であるベルトが限界に近づいているサインなのでいつまでも放置はしないで下さい。
交換するにしても驚くような金額ではないので早めにプロに対処してもらいましょう。