この記事ではタイヤ付近から焦げ臭いにおいがする原因と対処法についてご紹介します。
「なんだかタイヤ付近から焦げ臭いにおいがするんだけど気のせいかな・・・」
あなたが感じたタイヤ付近からする焦げ臭いにおい、おそらく気のせいではないですよ。
タイヤ付近から焦げ臭いにおいがしてもタイヤがバースト、パンクして潰れていない限り見た目はいつもと変わらないので、
「やっぱり気のせいかな」
となってしまいがちですが、そのまま走行を続けると命にも関わる悲惨な大事故に繋がります。
そこでこの記事では、
・タイヤ付近から焦げ臭いにおいがする原因
・原因を特定する方法
・自走するのは危険か?
・修理費用
の順で解説しますので最後までお付き合い頂ければと思います。
タイヤ付近から焦げ臭いにおいがする原因
タイヤ付近から焦げ臭いにおいがする原因を解説する前にあらかじめ1点お伝えしておきます。
後輪二輪を横に滑らせるドリフト行為をした後やサーキットを走行した後は焦げ臭いにおいがしてもなんら不思議ではないので今回の解説からは外させて頂きます。
身に覚えがないけどタイヤ付近から焦げ臭いにおいがするということを前提に進めさせて頂くのでその点はご了承下さい。
- 新品タイヤへ交換した直後
- タイヤの異常
- ブレーキ類の異常
新品タイヤへ交換した直後
新品タイヤへ交換した直後は焦げ臭いにおいがすることもあります。
知らないユーザーも多いのですが、新品のタイヤというのはタイヤ本来の性能を発揮させるために慣らし走行をしなければいけません。
慣らし走行をせずいきなり過酷な走行をすると異常発熱によって焦げ臭いにおいを発します。
可能なら新品タイヤに交換後は60km/h〜80km/hほどのスピードで100km〜200kmの距離を走行するようにしましょう。
タイヤの異常
タイヤがバースト、パンクをして潰れたまま走行すると焦げ臭いにおいがします。
ただ、この場合ハンドリングにも影響を及ぼすのでタイヤに何かあったんだなとすぐに気がつくはずです。
ブレーキ類の異常
ブレーキ類に異常があると焦げ臭いにおいがします。
ブレーキパッドの交換直後や車検後は焦げ臭いにおいがすることもありますがこちらであれば問題ないことが多いです。
厄介なのは、ブレーキの引きずりというブレーキが戻らなくなる現象です。
ブレーキの引きずりを説明する前に乗用車に採用されているブレーキの仕組みについて簡単に説明しておきます。
現在の乗用車のブレーキはディスクブレーキ式とドラムブレーキ式のいずれかでフロント部にはディスクブレーキ式、リヤ部には一般的二軽自動車やコンパクトカーなど低排気量車でドラムブレーキ式、それ以外でディスクブレーキ式が採用されています。(例外もあります)
ディスクブレーキ式はタイヤの回転と共に回るブレーキローターを油圧による力でキャリパーピストンを押し出し、ブレーキパッドをブレーキローターに擦らせることで摩擦を起こして制動させています。
一方でドラムブレーキ式はドラム内にあるホイールシリンダーピストンを油圧によって押し出し、ドラムの内面にライニングシューを擦らせることで摩擦を起こし制動させています。
ディスクブレーキ式にしろ、ドラムブレーキ式にしろ油圧で押し出す部品は違うだけで摩擦により制動させている点は同じということです。
ブレーキペダルを踏み、油圧で押し出したものの戻らなくなっている状態ですね。
ブレーキを踏んだままアクセルを踏んでいる状態といえばわかりやすいでしょうか?
進む力と止まる力が同時に働いているということは抵抗も大きくなりその結果、発生する熱も大きくなるため熱の逃げ場がなくなりブレーキパッドやライニングシューが焼けて、焦げ臭いにおいを発するというわけです。
また、サイドブレーキを戻さずに走行を続けても焦げ臭いにおいがしますし、ブレーキを分解した際に可動部に塗布するグリースを塗りすぎた場合も焦げ臭いにおいを発することがあります。
ブレーキが引きずる原因
ブレーキが引きずる原因は錆による固着です。
ディスク式ではキャリパーピストン、ドラム式ではホイールシリンダーピストンが錆によって固着してしまうため引きずりを起こしてしまいます。
新車登録から二度目の車検あたりからキャリパーピストンやホイールシリンダーが固着しないようにブレーキのオーバーホールを勧められますが、断り続けると最終的に固着します。
また、長期間動かさないことでも固着は起こりやすくなります。
焦げ臭いにおいの原因を特定する方法
タイヤ付近から焦げ臭いにおいがする原因をいくつか紹介しましたが、次にご自身で簡単に原因を特定する方法について紹介します。
- 走行中に違和感は?
- 目視による確認
順に確認して下さい。
走行中に違和感は?
走行中になにか違和感はありませんでしたか?
「アクセルが重い感じがする」
「いつもよりスピードが出ない」
わかりやすいのはこの2点です。
「言われてみればそんな感じがしたな」
というのであればまず、サイドブレーキが解除されているか確認して下さい。
目視による確認
次に停車中に焦げ臭いにおいがする車輪を目視でチェックして下さい。
車検後、ブレーキパッドを新品へ交換後、新品タイヤに交換した直後、高速走行を続けた直後でもなくタイヤにも特に異常がなさそうであればブレーキの引きずりの可能性が濃厚です。
手元に水があるようなら一度ホイールに水をかけてみて下さい。
ブレーキが引きずっているとホイールにも異常な熱が伝わるので手で触れないほど高音になっています。
やけどをしてしまうため素手で触れてはいけません。
ホイールに水をかけると熱したフライパンに水を入れた時のようなジュっという音とともに水気が一瞬で蒸発して湯気が出ます。
ここまで確認できれば焦げ臭いにおいの原因は100%ブレーキの引きずりといえます。
タイヤ付近から焦げ臭いにおいがした時の対処法
新品タイヤへ交換した直後であれば気にする必要はありませんができれば慣らし走行をするようにして下さい。
高速走行を続けた直後の場合も走行をせず少し時間をおくことで焦げ臭いにおいもおさまるためその後の自走は可能です。
一方でブレーキ関係が原因の場合、とるべき行動も違います。
- 直近でブレーキの整備をしているケース
- 直近でブレーキの整備をしていないケース
直近でブレーキの整備をしているケース
直近で車検や1年点検、ブレーキパッドの交換などブレーキの整備をしている場合はグリースの塗りすぎなども考えられるので一度、整備をした修理工場へ電話で問い合わせてみましょう。
ブレーキの分解整備をした場合、整備記録簿という用紙を1枚渡されますが見てもイマイチわからないと思いますし、直接聞いた方が理解しやすいので担当の整備士へ繋いでもらい確認して下さい。
直近でブレーキの整備をしていないケース
最近整備をしてもらった記憶もなく身に覚えがない場合はブレーキの引きずりである可能性が濃厚ですのでレッカーを手配する必要があります。
急いでいる、時間がないなど都合もあるかもしれませんがブレーキを引きずったまま走行を続けるとペーパーロック現象というブレーキオイルが沸騰をしてブレーキが効かなくなる現象が起こるので非常に危険です。
車両火災にまで発展することも十分考えられます。
止まれない車など凶器でしかありません。
また、状態が悪くなればなるほど交換部品も多くなり修理代も高額になるので気づいた時点でレッカーを手配しましょう。
ブレーキの引きずりが原因の場合の修理費用
最後にブレーキの引きずりを修理する場合の修理費用も参考程度に記載しておきます。
ディスク式 | ドラム式 | |
部品代 | ¥2,000〜¥3,000 | ¥1,000〜¥2,500 |
工賃 | ¥8,000〜¥12,000 | ¥6,000〜¥10,000 |
ブレーキオイル | ¥2,000〜¥3,000(1台) |
ブレーキの引きずりを修理するためにはブレーキオーバーホールが必須です。
そのために必要な最低限の金額ですのでブレーキパッド、キャリパーピストン、ホイールシリンダー、ディスクローターのいずれかが同時に交換が必要となった場合は別途費用がかかります。
また、特殊なブレーキキャリパーの場合、驚くような金額になることもあります。
原因の特定が難しければまずはプロに確認
この記事ではタイヤ付近から焦げ臭いにおいがする原因と対処法について解説してきました。
原因 | 対処法 |
タイヤ(新品タイヤ交換後) | 慣らし走行をする |
タイヤ(高速走行後) | 停止してタイヤを少し冷ます |
ブレーキ(整備後) | 整備工場にTEL |
ブレーキ(整備後以外) | レッカーの手配 |
焦げ臭いにおいの原因を特定する方法は比較的簡単ですが、それでも難しければ修理工場へ電話してアドバイスを仰いで下さい。
ブレーキ類の異常は本当に危険です。
できれば症状が出る前に予防整備で対処するのが理想ですので車検ではやたらむやみにケチらないようにしましょう。