この記事では、エンジンがブルブル震える原因を症状別にご紹介いたします。
エンジンは動力であるが故、必ず振動を起こしています。
そんなことはわかっていると思いますが、いつもよりブルブル震えている感じがするなと思うのならそれは異常である可能性が濃厚です。
現代の車は非常に性能が良くなったため故障も起こりにくくなってはいるものの工業製品である以上、いつかは劣化・故障を起こし様々な症状となって現れます。
エンジンがブルブル震える症状はその1つです。
そこで、この記事ではエンジンがブルブル震える原因を症状別に対応策も解説していきますので。
ぜひ最後までお読み頂ければと思います。
エンジンがブルブル震える原因はアイドリングの状態によって違う
エンジンがブルブル震える原因はアイドリングが不安定なのか、それともアイドリングが安定しているかによっても違いますのでまず、ギアがパーキング時でアイドリングに異常がないか確認してください。
アイドリングが不安定とはエンジン始動中のアイドリング時(ギアはパーキング)でエンジンが
「ブルッブルンブゥン」
といった感じでエンジン音のリズムが異常な状態です。
アイドリングが不安定ならば、このままお読みください。
アイドリングに異常がないようなら「ギアがドライブレンジで停車中にエンジンがブルブル震える原因(アイドリング安定)」までお進みください。
停車中にエンジンがブルブル震える原因(アイドリング不安定)
エンジン始動中でギアがパーキングの停車中ですね。
アイドリングで停車しているときと言えばわかりやすいでしょうか。
厳密に言うと、ギアがドライブの走行中でもエンジンはブルブル震えていますが、パーキングの停車中がよりわかりやすいはずです。
いつもとは違った感じでエンジンがブルブル震える原因はアイドリングが不安定になっているからです。
アイドリングが不安定になる原因は、点火系統、吸気系統、燃料系統、エンジン内部のいずれかが異常を起こしているからです。
- 点火系統の異常
- 吸気系統の異常
- 燃料系統の異常
- ECU(エンジンコントロールユニット)の故障
- 圧縮不良
順に解説していきます。
点火系統の異常
燃焼室に送られた混合気を点火させるためのスパークプラグやイグニッションコイルが不良になるとアイドリングは不安定になります。
スパークプラグとはガソリンと空気からなる混合気を燃焼させるために点火させる部品でイグニッションコイルがバッテリーから供給された12Vの電気を25,000〜30,000ボルトの高電圧に変換させている部品です。
点火系統の異常の場合、例えば4気筒のエンジンが3気筒しか動いていない状態になっていることが多く、スパークプラグの交換やイグニッションコイルの交換で回復しアイドリングは安定するようになります。
最もわかりやすいのは3気筒の軽自動車で1気筒が動かなくなると覿面に違いがあるので誰でも気がつきます。
一方で4気筒以上の車種では1気筒が不動になっても多少ブルブルするだけなので気がつかないことも珍しくありません。
スパークプラグの種類 | 交換目安距離 | 交換費用 |
一般タイプ | 10,000km〜20,000km | 5,000円〜12,000円(1本) |
長寿命タイプ | 100,000km | 7,000円〜13,000円(1本) |
交換目安距離 | 交換費用 |
100,000km | 10,000円〜(1本) |
上記はあくまで目安です。
スパークプラグ、イグニッションコイルはともに消耗品です。
定期的に点検し、交換していれば防げる故障ともいえます。
吸気系統の故障
吸気系統の故障とは混合気となる空気の流入に異常を起こしている状態です。
ガソリンエンジンでいうと燃料であるガソリンが噴射されて空気と混ざり混合気となって点火させることで爆発を起こしエンジンを動かしているのですが、混合気となる空気の量が少なすぎる、多すぎる、または異物が混ざることでアイドリングは不安定になります。
正常時はスロットルボディ、ISCV(アイドルスロットルコントロールバルブ)という部品が必要な空気量を調節して適切な量の空気をエンジン内部に送っています。
しかし、カーボンやスラッジにより汚れてしまうことで微妙な調整ができなくなり必要な量以上の空気を送る、反対に必要な量以下の空気しか送らなくなってしまうため、アイドリングが不安定になるということです。
スロットルボディを清掃するとアイドリングが見違えるほど回復することも珍しくありませんん。
一方で清掃禁止のものもあり、清掃禁止のスロットルボディ、ISCVを清掃してしまうとより症状がひどくなることもあります。
燃料系統の故障
燃料を噴射しているインジェクターが詰まりぎみ、または完全に詰まってしまうと適切な混合気が作られずアイドリングが不安定になります。
インジェクターが詰まりぎみになる、または完全に詰まってしまう主な原因はガソリンの質です。
インジェクターは消耗品とは言われているもののそう簡単に壊れるものではありません。
20万km走行しても問題ないことも珍しくないですが、10万kmで不具合を起こすこともあります。
実際、廃車になるまで一度も交換しない車も多いのですが、不純物の多いガソリンや長時間乗らないことで起こる劣化したガソリンを使用してしまうと不具合を起こしやすくなります。
部品代 | 工賃 |
15,000円〜20,000円 | 10,000円〜15,000円 |
上記はあくまで目安です。
現代の車はそのほとんどが1気筒に対して1本のインジェクターが装着されていますが、不具合を起こした1本だけではなく全数交換しないとその機能に別の障害を起こすこともあります。
そのため交換費用は4気筒であれば60,000円〜80,000円ですね。
長時間乗らないときはガソリンを使い切る、激安ガソリンは避けるなど寿命を伸ばすための予防も比較的簡単にできるので普段から気をつけるようにしましょう。
ECU(エンジンコントロールユニット)の故障
ECUとは、エンジンの制御をしているコンピューターです。
現代の車は、ECUがエンジンをコントロールしているので、ある意味生命線とも言える部品です。
燃焼室に送られる空気の流入量もガソリンの噴射量も点火のタイミングも全てECUが管理しています。
アイドリングが不安定になったり、安定したりを繰り返すこともあるので診断も非常に厄介になることもあります。
さらにECUの交換は、車種によって安く修理するための中古部品(リサイクルパーツ)が使用できないこともあります。
新品のECU+データを移すコーディングという作業で50万円を超えることもあるのです。
圧縮不良
エンジンは、各シリンダー内で吸気工程、圧縮工程、爆発工程、排気工程を繰り返しています。
圧縮不良とは圧縮工程で不具合を起こしている症状です。
通常、1つのシリンダーに吸気バルブと排気バルブというものが取り付けられており、吸気工程では吸気バルブが、排気工程で排気バルブが開くようになっています。
しかし、このバルブが欠ける、溶けるということが起こり圧縮できない状態になります。
圧縮できないので次の爆発工程もされることはなくそのシリンダーは動いていないのと等しい状態となってしまうのです。
点火系統、吸気系統、燃料系統に異常がなくても圧縮不良を起こせば1気筒不動になるのでアイドリングは不安定になります。
この場合の修理費用は、最低10万円〜ですが、基本はエンジン交換になるので軽自動車でも30万円コースです。
ギアがドライブレンジで停車中にエンジンがブルブル震える原因(アイドリング安定)
ギアがドライブに入っているのでブレーキを踏んで停車させているケースですね。
一般的に多いのは信号待ちです。
エンジンの回転数に異常はないにも関わらずブルブル震える原因は主に1つです。
エンジンマウントの劣化
エンジンの回転数には異常がないとなれば、疑うべきはエンジンマウントです。
エンジンマウントとはエンジンとボディの架け橋になっている部品です。
エンジンとミッションを1つに組み付けた状態から前後左右に1点ずつボディと取り付けられていますがエンジン側に取り付けられているのがエンジンマウントです。(前側以外の3点で支えている車種もあります。)
別名インシュレーター(防音・防振材)とも言われておりエンジンの振動を室内に響かないようにするための役割も担っています。
このマウントという部品は、ゴム製品のため経年劣化によりへたります。
へたることでエンジンの振動を吸収できなくなり、室内からはエンジンがブルブル震えている、振動が大きいと感じるようになるのです。
一般的に10年10万km〜15年15万kmは問題ないと言われている部品ではありますが、車種によっては5年5万kmを超えた辺りからへたりが顕著になり症状が出ることも珍しくありません。
エンジンマウントが原因の場合、エンジンがブルブル震える感じがするのはギアをパーキングからドライブに入れた時でエンジン始動中でもギアがパーキングで停車していればブルブル震える感じもあまりしないという特徴があります。
症状がひどくなると、ギアがパーキングのアイドリング時でも振動が大きいことに気がつきます。
ドライブに入れるとさらに振動が大きくなるのでエンジンマウントの劣化は比較的わかりやすいかなと思います。
エンジンマウントの交換は、部品代が4000円〜で車種によっては工賃が高くつくこともあります。
また、最低3〜4個取り付けられているので全てを同時に交換する場合も高額になりがちです。
原因によっては高額修理になることも
エンジンがブルブル震える原因がアイドリング不安定によるものからであれば修理代が高額になることも珍しくありません。
アイドリングが不安定になる原因が複数に及ぶ場合もよくあるので1つ1つを交換していったけど最終的にECUも交換しなければ復活しない。
となれば、かなりの金額が必要ですよね?
実際スロットルボディの交換はECUも同時交換という車種もあるくらいです。
また、点火系統の異常が原因だと思っていたけれど実は圧縮不良だったということもあります。
こうなればスパークプラグやイグニッションコイルを交換するだけ無駄だったとなってしまうのです。
エンジンマウントのへたりが原因の場合は1個の交換で5万円以内に収まることも多いですが、アイドリングが不安定であれば原因を特定するために時間も料金もかかるという事態に陥ってしまうので修理をせず乗り換えを検討する人が多くいるのです。
結局はメンテナンス不足と経年劣化が原因
最後にわかりやすいようまとめておきますね。
アイドリング不安定 | アイドリング安定 |
点火系統の異常 | エンジンマウントの劣化 |
吸気系統の異常 | – |
燃料系統の異常 | – |
ECUの故障 | – |
エンジンの圧縮不良 | – |
エンジンがブルブル震える原因は2つのケースから判断していくのでまずはアイドリングが安定しているかどうかを確認しましょう。
結局はエンジンがブルブル震える原因はメンテナンス不足や経年劣化によるものが原因なので回避できる故障もあります。
急なトラブルはできるだけ避けるためにも調子が悪くなればすぐに点検し、重症化させないようにしましょう。